舌が赤くて苔が少ないのはなぜ?陰虚と更年期の関係
目次
① はじめに
鏡で舌を見た時に、
「いつもより舌が赤い気がする」
「舌の白い苔がほとんどない」
「舌が乾燥している」
「以前より舌が薄く、小さくなった気がする」
と感じたことはありませんか?
東洋医学では、舌の色や形、舌苔(ぜったい)の状態などから身体の状態を考える「舌診(ぜっしん)」という方法があります。
👉舌診について詳しく知りたい方はこちらもご覧ください。
舌が赤く、舌苔が少ない状態は、東洋医学では身体を潤したり熱を冷ましたりする「陰(いん)」が不足した「陰虚(いんきょ)」の時にみられることがあります。
特に40代後半から50代頃の更年期には、ほてりや寝汗、不眠、口の渇きなどとともに、このような舌の変化がみられることもあります。
今回は「舌が赤くて苔が少ない」という特徴から、陰虚証や更年期との関係についてお話しします。
② 舌が赤くて苔が少ない状態とは?
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健康な舌は、一般的には淡い赤色をしており、表面には薄く白い舌苔がみられます。
一方で陰虚傾向が強くなると、
・舌の赤みが強い
・舌苔が少ない
・舌の表面が乾燥している
・舌がやや薄い、小さい
・舌にひび割れがみられる
といった特徴が現れることがあります。
東洋医学では、舌の赤みは身体の「熱」、舌苔の少なさや乾燥は身体を潤す「陰」や「津液(しんえき)」の不足を考える材料の一つになります。
ただし、舌の状態だけで体質や病気を判断することはできません。
その方の症状や生活習慣、脈、体調なども一緒に確認することが大切です。
③ 東洋医学でいう「陰虚」とは?
東洋医学でいう「陰」には、
・身体を潤す
・身体にこもった熱を冷ます
・心身を落ち着かせる
・身体の回復を支える
といった働きがあると考えます。
この陰が不足した状態を「陰虚」と呼びます。
陰が不足すると身体を十分に潤したり、余分な熱を抑えたりすることが難しくなるため、
・口や喉が乾く
・肌が乾燥する
・ほてる
・寝汗をかく
・夜になると身体が熱く感じる
・眠りが浅い
・夜中に目が覚める
・イライラしやすい
などの症状につながることがあります。
夜更かしや慢性的な疲労、強いストレスなどが続いている方でも、東洋医学では陰を消耗していると考える場合があります。
👉陰虚について詳しく知りたい方はこちらもご覧ください。
④ 更年期と陰虚の関係
更年期になると、
・急に顔がほてる
・寝汗をかく
・夜中に目が覚める
・口や喉が乾く
・イライラする
・耳鳴りがする
・疲れやすい
など、さまざまな身体の変化が現れることがあります。
東洋医学では、加齢とともに身体を支える「腎(じん)」の働きが少しずつ変化していくと考えます。
特に身体を潤し、熱を抑える働きが不足した状態を「腎陰虚(じんいんきょ)」と呼びます。
更年期にみられる
「身体は疲れているのに、なぜか夜になると目が冴える」
「暑くないのに顔だけほてる」
「夜中に汗をかいて目が覚める」
といった症状は、東洋医学では腎陰虚などを考えるヒントになることがあります。
このような方の舌には、
「赤みがある」
「苔が少ない」
「乾燥している」
といった特徴が現れることがあります。
ただし、更年期=陰虚というわけではありません。
冷えが強い方、むくみやすい方、ストレスの影響が強い方など、更年期でも体質は一人ひとり異なります。
👉更年期にみられるほてり・ホットフラッシュ・不眠などの症状や、当院での鍼灸治療について詳しく知りたい方はこちらもご覧ください。
「長津田で更年期障害にお悩みの方へ|ホットフラッシュ・不調を整える鍼灸治療」
⑤ 舌にひび割れもある場合は?
陰虚が進み身体の潤いが不足すると、舌の表面にひび割れのような溝がみられることがあります。
このような舌を「裂紋舌(れつもんぜつ)」と呼びます。
特に、
「舌が赤い」
「苔が少ない」
「乾燥している」
「さらにひび割れがある」
という場合には、東洋医学では身体の潤い不足を考える材料になります。
ただし裂紋舌は、生まれつきみられる方もいます。
👉舌にひび割れがある方はこちらの記事もご覧ください。
⑥ 陰虚タイプの方におすすめの養生法
1.夜更かしを減らす
東洋医学では、夜は身体を休ませ「陰」を養う大切な時間と考えます。
寝る直前まで仕事やスマートフォンを続けるのではなく、少しずつ身体を休息モードに切り替えていきましょう。
2.身体を酷使しすぎない
仕事や運動などを頑張り続けていると、身体の回復が追いつかなくなることがあります。
疲れている時には、あえて何もしない時間を作ることも大切な養生です。
3.こまめに水分補給する
口や喉が乾燥しやすい方は、のどが渇いてから一気に飲むのではなく、日中に少しずつ水分を摂ることを心掛けましょう。
4.刺激物を摂りすぎない
辛い食べ物や大量のアルコールなどは、身体がほてりやすい方では症状を強く感じることがあります。
特に夜にほてりや寝汗が強い方は、摂りすぎないようにしましょう。
⑦ 陰虚タイプにおすすめのツボ
舌が赤くて苔が少ないからといって、すべての方に同じツボが適しているわけではありません。
ここでは、陰虚や更年期の症状を考える際によく使用する代表的なツボをご紹介します。
内くるぶしとアキレス腱の間にあるツボです。
東洋医学では「腎」と関係が深いツボで、腎の働きを補う目的で使用されます。
更年期にみられる疲労感や腰のだるさ、身体の潤い不足などを考える際にも使われるツボです。
内くるぶしの少し下にあるツボです。
東洋医学では陰を補う作用を考えて使用することがあり、
・ほてり
・不眠
・喉の乾燥
・更年期の不調
などがある方に選ぶことがあります。
内くるぶしから指4本分ほど上にあるツボです。
肝・脾・腎という3つの経絡が交わる場所で、婦人科系の不調や体質を整える際によく使われます。
更年期だけでなく、冷えやむくみ、生理に伴う不調など、その方の体質に合わせて使用します。
※ツボは強く押せば効果が高くなるものではありません。心地よい程度の強さで刺激してください。
⑧ 鍼灸でできること
当院では「舌が赤いから陰虚」と舌だけを見て施術方針を決めることはありません。
舌の状態に加えて、
・ほてりや冷え
・睡眠
・汗のかき方
・口や喉の乾燥
・胃腸の状態
・疲労
・ストレス
・脈の状態
などを確認し、身体全体から東洋医学的な「証(しょう)」を考えます。
同じ更年期の症状でも、
陰が不足している方もいれば、
●身体を温める力が不足している方
●気の巡りが滞っている方
●水分が身体に溜まりやすい方
など体質はさまざまです。
そのため、一人ひとりの身体の状態に合わせて使用するツボを選ぶことが大切です。
⑨ まとめ
舌が赤く、舌苔が少ない状態は、東洋医学では身体の潤いが不足した「陰虚」を考えるヒントの一つになります。
特に、
・ほてり
・寝汗
・不眠
・口や喉の乾燥
・疲れているのに夜になると目が冴える
などを伴う場合には、陰虚傾向が関係していることがあります。
また、更年期には身体を支える「腎」の変化とともに、腎陰虚の状態がみられることもあります。
舌は毎日簡単に確認できる身体のサインの一つです。
ただし、舌だけで体質や病気を判断することはできません。
「最近舌が変わってきた気がする」という方は、舌だけを見るのではなく、睡眠や疲労、ほてり、冷えなど、ご自身の身体全体の変化にも目を向けてみてください。