五行色体表とは?東洋医学の木・火・土・金・水を一覧表でわかりやすく解説
目次
① はじめに
「春になるとイライラしやすい」
「考え事が続くと食欲が落ちる」
「秋になると鼻や喉、皮膚が乾燥しやすい」
「年齢とともに耳や髪、骨のことが気になってきた」
一見すると、それぞれまったく別の話に見えますよね。
ところが東洋医学では、こうした季節・感情・身体の部位・味・生活習慣などを、お互いに関連するものとして考えることがあります。
その関係を一覧にしたものが「五行色体表(ごぎょうしきたいひょう)」です。東洋医学では自然界や身体の働きを、
木・火・土・金・水
という5つのグループに分けて考えます。まずは下の表をご覧ください。
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「肝と春が同じグループ?」
「怒ることと筋肉が関係するの?」
「腎と耳や髪がつながっている?」
初めて見ると不思議に感じると思います。今回はこの五行色体表を使いながら、東洋医学の身体の見方をできるだけわかりやすく紹介していきます。全部を暗記する必要はありません。
「東洋医学って、こんなふうに身体を見ているんだ」
くらいの気持ちで読んでみてください。
② 五行色体表とは?
五行色体表とは、東洋医学における「五行」の考え方をもとに、身体や自然界のさまざまなものを5つに分類した表です。
中心になるのが、
- 木=肝
- 火=心
- 土=脾
- 金=肺
- 水=腎
という五臓の分類です。
さらに、季節、気候、色、味、感情、身体の組織、目・鼻・耳などの感覚器官まで、それぞれ関連するものとして分類されています。
ただし大切なのは、「同じ列にあるものはすべて同じもの」という意味ではないということです。
五行色体表は病気を機械的に判定する表ではなく、身体や自然界の特徴を整理し、さまざまなつながりを考えるための一つの方法として使われます。
③ 五行色体表は「縦」と「横」で見ると面白い
五行色体表は、縦と横の両方から見ると理解しやすくなります。
例えば「木」の列を縦に見てみましょう。
| 分類 | 木 |
|---|---|
| 五臓 | 肝 |
| 五季 | 春 |
| 五気 | 風 |
| 五色 | 青 |
| 五味 | 酸 |
| 五志 | 怒 |
| 五体 | 筋 |
| 五華 | 爪 |
| 五液 | 涙 |
| 五声 | 呼 |
| 五労 | 行 |
| 五官 | 目 |
東洋医学では、
肝・春・風・怒・筋・爪・涙・目
などを、共通する性質を持った「木」のグループとして捉えます。一方、横に見ると、
「五志にはどんな感情があるのか」
「五官にはどんな感覚器があるのか」
といった分類を見ることができます。この縦と横の両方を見ることが、五行色体表を理解するポイントです。
④ 木|肝は「春・目・筋・怒」とつながる
東洋医学で「木」に分類される中心的な臓が「肝」です。肝というと、西洋医学では肝臓を思い浮かべると思います。
しかし東洋医学でいう「肝」は、肝臓という臓器そのものだけではなく、血や気の巡り、目や筋なども含めた広い働きを表しています。
木のグループには、
春・風・青・酸・怒・筋・爪・涙・目
などがあります。例えば「目」。東洋医学では、
「肝は目に開竅する」
と考え、目と肝には深い関係があると考えます。パソコンやスマートフォンなどで長時間目を使う現代人にとっても、興味深い考え方ではないでしょうか。
また「怒」も肝と同じグループです。ここでいう怒とは、単純に「怒ると肝臓が悪くなる」という意味ではありません。
強いストレスやイライラが長く続くと、東洋医学でいう「気の流れ」が滞りやすくなると考え、その代表的な状態として肝の働きとの関連を考えることがあります。
「ストレスが続くと肩や首が張る」
という経験がある方も多いと思います。肝と筋が同じ「木」に分類されているのも、東洋医学らしい面白いところです。
⑤ 火|心は「夏・舌・血脈・喜」とつながる
「火」の中心になる五臓が「心」です。
火には、
夏・暑・赤・苦・喜・血脈・顔・汗・笑・舌
などが分類されています。
特に分かりやすいのが「汗」です。夏になり暑くなると、当然汗をかきやすくなります。東洋医学でも「夏」「暑」「汗」「心」は同じ火のグループとして考えられています。
また、心は「血脈を主る」とされ、血液の循環に関わる働きと関連づけられます。さらに「心の華は面」とされ、顔色も身体の状態を見る一つの材料としてきました。
感情では「喜」が心に分類されます。喜ぶこと自体が悪いわけではありません。
東洋医学では、どんな感情も強すぎたり、長く続いたりすることで身体に影響することがあると考えます。
⑥ 土|脾は「長夏・口・肌肉・思」とつながる
「土」の中心になるのが「脾」です。
土には、
長夏・湿・黄・甘・思・肌肉・唇・涎・歌・口
などが分類されています。
東洋医学でいう「脾」は、食べたものから身体に必要なものを作り、全身へ運ぶ働きと深く関係すると考えられています。
そのため、
「食欲がない」
「胃が重い」
「身体がだるい」
「むくみやすい」
といった状態では、脾の働きを考えることがあります。
そして感情では「思」。ここでいう「思」は、考えすぎ・思い悩むことです。仕事や人間関係などで頭の中がずっと忙しい状態が続き、
「考えすぎて食欲がなくなった」
「ストレスが続くと胃が痛くなる」
という経験がある方もいると思います。東洋医学では昔から、心と身体を切り離さずに考えていたことが分かります。
⑦ 金|肺は「秋・鼻・皮毛・悲」とつながる
「金」の中心になるのが「肺」です。
金には、
秋・燥・白・辛・憂悲・皮毛・毛・涕・哭・鼻
などがあります。
秋になると空気が乾燥します。すると、
「喉が乾く」
「鼻が乾燥する」
「肌がカサカサする」
と感じる方も増えてきます。五行色体表を見ると、秋・燥・肺・鼻・皮毛がすべて「金」に分類されています。
昔の人が季節と身体の変化をよく観察していたことが伝わってきますよね。感情では「憂・悲」。強い悲しみや憂いが長期間続いたときも、東洋医学では肺との関係を考えることがあります。
⑧ 水|腎は「冬・耳・骨・髪・恐」とつながる
「水」の中心になるのが「腎」です。
水には、
冬・寒・黒・鹹・恐・骨髄・髪・唾・呻・耳
などがあります。
東洋医学の「腎」は、西洋医学の腎臓だけを意味しているわけではありません。成長、発育、生殖、老化、骨などにも関係する、とても広い概念です。例えば五行色体表を見ると、
腎・骨・髪・耳
が同じ水のグループに入っています。年齢を重ねるにつれて、
「髪が細くなった」
「耳が聞こえにくくなった」
「骨が弱くなってきた」
といった変化が起こることがあります。東洋医学では、このような加齢に伴う変化を考える際にも「腎」という概念が登場します。感情では「恐」。強い恐怖や不安による身体への影響についても、昔から考えられてきました。
⑨ 感情も身体に影響する?「五志」の見方
五行色体表の中でも、患者さんにお話しすると「面白いですね」と言われることが多いのが「五志」です。
| 五行 | 木 | 火 | 土 | 金 | 水 |
|---|---|---|---|---|---|
| 五志 | 怒 | 喜 | 思 | 憂・悲 | 恐 |
東洋医学では、
- 怒=肝
- 喜=心
- 思=脾
- 憂・悲=肺
- 恐=腎
というように、感情にも五臓との関連を考えます。ただし、
「怒ったから肝が悪くなる」
という単純な話ではありません。怒ることも、喜ぶことも、悲しむことも、人間にとって自然な感情です。東洋医学で問題になるのは、感情が強すぎることや、同じ感情が長期間続くことです。
昔の東洋医学では、身体だけを見るのではなく、人の感情まで含めて身体の状態を考えていました。このあたりは、東洋医学の面白さの一つではないでしょうか。
⑩ 「目を使いすぎると肝に悪い?」五労の見方
もう一つ面白いのが「五労」です。
五労とは、同じ姿勢や動作を長時間続けることで、身体の一部を消耗させるという考え方です。
| 五行 | 木 | 火 | 土 | 金 | 水 |
|---|---|---|---|---|---|
| 五労 | 行 | 視 | 坐 | 臥 | 立 |
古典では、
久行傷筋(歩きすぎは筋を傷る)
久視傷血(見すぎは血を傷る)
久坐傷肉(座りすぎは肉を傷る)
久臥傷気(寝すぎは気を傷る)
久立傷骨(立ちすぎは骨を傷る)
とされています。
ここで、
「視は火・心の列にあるのに、目は肝じゃないの?」
と思った方もいるかもしれません。これが五行色体表を見るときの重要なポイントです。横の分類と縦の関係を、そのまま一対一で結びつける必要はありません。
「久視傷血」は、
長時間目を使うと“血”を消耗する
という意味です。そして東洋医学では、肝は血を蔵し、目を養うと考えます。そのため臨床では、
目を長時間使う
↓
血を消耗する
↓
目を養うための肝血にも負担がかかる
というように考えることがあります。つまり、「久視傷血だから心が傷つく」という意味ではありません。
五行色体表は、縦の列を機械的につなげる表ではなく、それぞれの理論を組み合わせながら身体を見るための整理表なのです。
⑪ 五行色体表だけで病気を判断するわけではありません
ここまで読むと、
「耳鳴りがあるから腎が悪い?」
「怒りっぽいから肝が悪い?」
と思う方もいるかもしれません。
しかし、実際の東洋医学ではそれほど単純ではありません。例えば耳鳴り一つをとっても、
いつから始まったのか
どんな音なのか
疲労で変化するのか
睡眠はどうか
食欲はどうか
身体に熱感や冷えはあるか
など、さまざまな情報を合わせて考えます。舌や脈、全身の症状なども確認しながら、その方の身体の状態を判断していきます。五行色体表は、
「これがあるから、この臓が悪い」と決める診断表ではありません。
身体のさまざまなつながりを理解するための一つの考え方として見ると分かりやすいと思います。
⑫ 櫻花堂治療院ではどう使う?
当院でも患者さんに身体の状態を説明するとき、五行色体表の考え方が役立つことがあります。
例えば、
「肩が凝っていますね」
だけではなく、
目を使う時間は長くないか
睡眠はとれているか
胃腸の状態はどうか
最近ストレスが増えていないか
季節によって症状が変化しないか
など、身体全体を見ながら考えていきます。患者さんご自身は、
「肩こりと目の疲れは別の症状」
「胃の不調と考えすぎは別の問題」
と思っていることでも、東洋医学の視点から見ると一つの流れとして考えられることがあります。治療中に、
「どうしてそんなところまで聞くんですか?」
と言われることがありますが、身体全体の状態を把握するためにお聞きしています。五行色体表を見ると、東洋医学が身体をどのように捉えているのかが少しイメージしやすくなると思います。
⑬ まとめ
五行色体表は、
木・火・土・金・水
という5つのグループに、
五臓、季節、気候、感情、味、身体の部位などを分類したものです。例えば、
肝=春=怒=筋=目
心=夏=喜=血脈=舌
脾=長夏=思=肌肉=口
肺=秋=悲=皮毛=鼻
腎=冬=恐=骨=耳
というように、身体だけでなく季節や感情まで一緒に考えます。もちろん、五行色体表だけで病気を判断するわけではありません。しかし、
「身体と季節」
「身体と感情」
「身体の一部分と全身」
を切り離さずに考える東洋医学の特徴が、とても分かりやすく表れている表だと思います。普段はまったく関係ないように見えることが、実は一つにつながっているかもしれない。そう考えて五行色体表を眺めてみると、
「東洋医学って意外と面白い」
と思っていただけるのではないでしょうか。