アトピー性皮膚炎の原因とは?ジュクジュク・カサカサなど症状別に東洋医学で解説
目次
① はじめに
アトピー性皮膚炎は、強いかゆみや皮膚の赤み、乾燥などを繰り返す慢性的な皮膚の病気です。
同じ「アトピー」と診断されていても、
「皮膚がジュクジュクしている」
「乾燥してカサカサしている」
「赤みや熱感が強い」
「長年続いて皮膚が黒ずんできた」
など、症状の現れ方は人によって大きく異なります。
東洋医学では、こうした皮膚の状態だけを見るのではなく、体質や胃腸の状態、睡眠、ストレス、疲労なども含めて身体全体を確認します。
この記事では、アトピー性皮膚炎について現代医学と東洋医学の両方から考えながら、症状の違いによって東洋医学ではどのように体質を捉えるのかをご紹介します。
② アトピー性皮膚炎とは?
アトピー性皮膚炎は、かゆみを伴う湿疹が良くなったり悪くなったりを繰り返す病気です。
皮膚には本来、身体の水分が外へ逃げることを防ぎ、外部からの刺激物や細菌などが入り込むことを防ぐ「バリア機能」があります。
アトピー性皮膚炎では、この皮膚のバリア機能が低下しやすく、乾燥や刺激によって炎症やかゆみが起こりやすくなります。
また、アレルギーを起こしやすい体質だけでなく、汗や乾燥、衣類による刺激、睡眠不足、疲労、精神的なストレスなど、さまざまな要因が症状の悪化に関係します。
そのため、「これだけが原因」と一つに決めることが難しいのもアトピー性皮膚炎の特徴です。
③ アトピー性皮膚炎は症状が人によって違います
アトピー性皮膚炎という同じ病名でも、実際に皮膚を見てみると状態はさまざまです。
たとえば、皮膚から浸出液が出てジュクジュクしている方もいれば、水分が不足したように乾燥してカサカサしている方もいます。
また、赤みや熱感が強い方、長期間症状を繰り返したことで皮膚が厚くなったり色素沈着が目立ったりする方もいます。
東洋医学では、このような症状の違いを身体の中で起きている状態を考えるための大切な情報として捉えます。
ここからは代表的なタイプを4つに分けてご紹介します。
④ ジュクジュクしたアトピー
「湿」が溜まっているタイプ
皮膚がジュクジュクして浸出液が出やすい場合、東洋医学では身体の中に余分な「湿(しつ)」が溜まっている状態を考えます。
「湿」とは、簡単にいうと身体の中に停滞した余分な水分のようなものです。
特に東洋医学では、胃腸の働きを担う「脾(ひ)」が弱くなると、水分をうまく巡らせることができず、湿が溜まりやすくなると考えます。
そのため、
・胃腸が弱い
・食後に身体が重くなる
・むくみやすい
・身体がだるい
・舌に歯形がつきやすい
といった症状を伴うこともあります。
このようなタイプでは、皮膚だけに注目するのではなく、胃腸の働きを整えながら身体に溜まった湿を巡らせていくことを考えます。
⑤ カサカサしたアトピー
「血」や「津液」が不足しているタイプ
皮膚が乾燥してカサカサし、特に夜になるとかゆみが強くなるような場合には、「血(けつ)」や「津液(しんえき)」の不足を考えることがあります。
東洋医学でいう血や津液には、身体や皮膚に栄養と潤いを与える役割があります。
これらが不足すると、皮膚を十分に潤すことができなくなり、乾燥やかゆみが現れやすくなると考えます。
また、乾燥した皮膚のかゆみが身体のあちらこちらへ移動するような場合には「風(ふう)」が関係していると考えることもあります。
このようなタイプでは、身体の状態を確認しながら、血や津液を補い、皮膚を内側から養うことを目的にツボを選んでいきます。
⑥ 赤みや熱感が強いアトピー
「熱」がこもっているタイプ
皮膚の赤みが強く、触れると熱っぽい、かゆみが激しいという場合には、東洋医学では身体に「熱」がこもっている状態を考えます。
症状が強くなると、かゆい部分を掻くことでさらに炎症が強まり、
「かゆい → 掻く → さらに炎症が起こる → もっとかゆくなる」
という悪循環につながることもあります。
また、ストレスやイライラなどによって身体の気の巡りが悪くなり、熱が強くなると考える場合もあります。
こうしたタイプでは、身体にこもった熱を冷ましながら、気の巡りを整えることを考えて施術します。
⑦ 長期間続き皮膚が黒ずんでいるタイプ
「瘀血」が関係することも
アトピー性皮膚炎を長期間繰り返していると、皮膚が厚くなったり、黒ずみや色素沈着が目立つことがあります。
東洋医学では、長く続く症状では血液の巡りに似た働きを担う「血」の流れが滞り、「瘀血(おけつ)」という状態が関係すると考えることがあります。
瘀血とは、身体の中で血の巡りが滞っている状態を表す東洋医学の言葉です。
アトピー性皮膚炎が長期化している方の場合、一つの原因だけではなく、
「湿+熱」
「血の不足+瘀血」
など、複数の状態が重なっているケースも少なくありません。
そのため、現在の皮膚の状態だけではなく、これまでどのように症状が変化してきたのかを確認することも重要です。
⑧ ストレスや疲労でアトピーが悪化することも
「仕事が忙しくなるとアトピーが悪化する」
「睡眠不足になるとかゆみが強くなる」
「精神的に疲れている時ほど皮膚の調子が悪い」
このような経験がある方も多いのではないでしょうか。
ストレスそのものがアトピー性皮膚炎の唯一の原因というわけではありませんが、睡眠不足や疲労などと重なることで症状が悪化するきっかけになることがあります。
東洋医学では、心と身体を別々に考えるのではなく、一つの身体の変化として捉えます。
そのため当院では、皮膚症状だけではなく、
・睡眠
・胃腸の状態
・便通
・冷えやほてり
・疲労
・ストレス
・舌や脈の状態
なども確認しながら、その方の体質を考えていきます。
⑨ 櫻花堂治療院でのアトピー性皮膚炎への鍼灸治療
当院では、「アトピーだからこのツボ」というように、すべての方へ同じ施術を行うわけではありません。
ジュクジュクしているのか、乾燥しているのか。
赤みや熱感が強いのか。
胃腸が弱いのか、疲れやストレスが強いのか。
こうした身体全体の状態を確認し、東洋医学的な「証(しょう)」を立てて使用するツボを選びます。
また必要に応じて、首や肩など身体の緊張が強い部分にも施術を行い、身体全体を整えていきます。
アトピー性皮膚炎は皮膚科での診断や治療が基本となります。
鍼灸治療は医療機関での治療に代わるものではありませんが、身体の状態を整えていくための選択肢の一つとして取り入れることができます。
現在、皮膚科で治療を受けている方も、自己判断で薬を中止せず、医師の指示に従いながら鍼灸を併用してください。
⑩ 当院で施術したアトピー性皮膚炎の一例
※以下の症例は、ご本人に掲載の許可をいただいたうえで、個人が特定されないよう一部内容を調整してご紹介しています。
当院には、幼少期からアトピー性皮膚炎に悩んでいる50代の男性が来院されました。
症状は長期間続いており、花粉症もありました。
また、仕事による疲労や精神的なストレスが強くなると皮膚症状も悪化する傾向がありました。
身体の状態を確認しながら、その時々の皮膚症状だけではなく、胃腸や疲労、睡眠なども含めて東洋医学的に状態を判断し、鍼灸施術を行っています。
アトピー性皮膚炎は長期間症状を繰り返している方も多く、皮膚だけを見るのではなく、その時の体調変化も確認しながら施術することが大切だと考えています。
※施術による変化には個人差があります。
⑪ 自宅でできるアトピー性皮膚炎のケア
アトピー性皮膚炎では、日常生活で皮膚への刺激をできるだけ減らすことも大切です。
保湿剤などを使用して皮膚の乾燥を防ぎ、汗をかいた後は長時間放置せず、衣類や寝具などによる刺激にも注意しましょう。
また、睡眠不足や過度な疲労が続くと身体の調子も崩れやすくなります。
特定の食べ物を自己判断で極端に制限したり、皮膚科から処方されている薬を突然中止したりすることは避けてください。
症状が強い場合や急激に悪化した場合には、まず皮膚科などの医療機関へ相談しましょう。
⑫ よくあるご質問
Q. アトピー性皮膚炎は鍼灸だけで治せますか?
A. 鍼灸だけでアトピー性皮膚炎を治すことを目的にはしていません。皮膚科での治療を基本としながら、東洋医学的に身体の状態を整える方法の一つとして鍼灸を取り入れることができます。
Q. ステロイドを使用していますが鍼灸を受けられますか?
A. 基本的には受けていただけます。使用している薬がある場合は初回時にお伝えください。また、薬を自己判断で中止せず、処方した医師の指示に従ってください。
Q. ジュクジュクしているアトピーとカサカサしているアトピーでは治療が違いますか?
A. 東洋医学では身体の状態が異なると考えるため、使用するツボや施術内容が変わることがあります。皮膚の状態だけでなく、胃腸・睡眠・疲労・冷えやほてりなども確認して施術方針を決めます。
Q. ストレスでアトピーが悪化することはありますか?
A. ストレスだけがアトピー性皮膚炎の原因ではありませんが、ストレスや睡眠不足、疲労などが症状悪化のきっかけになる場合があります。
⑬ まとめ
アトピー性皮膚炎は、同じ病名であっても症状の現れ方は一人ひとり異なります。
東洋医学では、
ジュクジュクした状態には「湿」
カサカサした状態には「血・津液の不足」
赤みや熱感には「熱」
長期間続く黒ずみなどには「瘀血」
といった身体の状態が関係していると考えることがあります。
もちろん実際には一つだけではなく、複数の状態が重なっていることもあります。
櫻花堂治療院では、皮膚だけを見るのではなく、胃腸の状態や睡眠、疲労、ストレスなど身体全体を確認し、その方に合わせた鍼灸施術を行っています。
アトピー性皮膚炎で長く悩んでおり、「皮膚だけではなく身体全体の状態も一度見てほしい」という方は、お気軽にご相談ください。