お腹が張ってスッキリしない|長引く便秘の原因と対処法

1.はじめに

数あるホームページから長津田櫻花堂鍼灸・マッサージ治療院のページを訪れて頂きありがとうございます。便秘は多くの人が経験する一般的な消化器系の問題です。この状態は不快で、時には痛みを伴うこともあります。しかし、その原因を理解し適切な対処法を知ることで、便秘は管理可能だと考えます。今回は皆さんも一度は経験があるかもしれない『便秘』ついて現代医学的な視点でのメカニズムと、東洋医学に基づいた当院が考える原因と治療方針をお伝えしたいと思います。

2.便秘のメカニズム

便秘とは…

国内の様々な学会が出している独自の基準もありますが、国際的には『RomeⅢ基準』という定義で

●排便回数が週に3回未満
●硬便が排便時の25%以上
●用指的排便(指や綿棒などで強制的に排便させる)が25%以上
●努責(排便時に強くいきむ事)、残便感、閉塞感がみられる頻度が25%以上

とされ、一過性の症状と区別するため6か月前から、少なくとも3か月間このような症状が出現すると慢性機能性疾患(いわゆる慢性便秘)といわれるようです。

便秘の原因

①ストレス
慢性的及び急激なストレスにより、交感神経が優位となり腸の動きが停滞してしまいます。

②運動不足や筋力不足
運動による腸の刺激や排便時に必要な筋力が不足する事で定期的な排便ができなくなります。

③過度なダイエット
食事制限により排便補助に必要な食物繊維や水分が不足し、便の移動が鈍くなります。

④食生活の乱れ
偏った食事により便の質や量に影響が起こり、通常の排便が困難になります。

⑤水分不足
充分な水分量が摂取できず、便が硬くなり排便が困難になります。

⑥便意の我慢
何度も便意を我慢する事で直腸付近にあるセンサーの感度が低下し、便意を感じなくなります。

⑦お腹の冷え
冷たい飲み物や食べ物の摂取により腸の動きが鈍くなり便の動きが低下します。

⑧薬の副作用
一部の薬剤は大腸の蠕動運動を低下させ、便秘を引き起こします。

⑨器質性便秘
潰瘍や腸の狭窄など、物理的な障害によって便が通りにくくなります。

⑩抑うつや神経疾患
抑うつが続く場合や神経損傷がある場合にも便秘が生じる可能性があります。

便秘のリスク

身近にある便秘ですが、放置していると様々なリスクが考えられます。また、2010年アメリカの論文では便秘とそうでない方を15年間追跡すると便秘患者さんは非便秘患者さんよりも20%以上なくなっている方が多いと報告されています。(引用:たかが便秘に要注意|日本大腸肛門病学会)

①疾患のリスク
●大腸内に残った便(宿便)が腸壁を圧迫し血流を滞らせる事で潰瘍や大腸炎のリスクを高めます。
●肛門付近の鬱血による痔の発生を高めます。
●腸内細菌の乱れにより腎疾患のリスクを高めます。
●いきむ事での血圧上昇により脳血管や動脈乖離などのリスクを高めます。

②生活のクオリティ低下
●お腹が張った感じによる吐き気、食欲減退、肌荒れが起こりやすくなります。
●スッキリしない精神的ストレスによる感情の変化が起きやすくなります。

③免疫力の低下
●肌質低下や吹き出物ができやすくなります。

そもそも快便とは…

では、そもそも『快便』とは何でしょうか?排便は食べ物に含まれる有害物質や不要物を体外に排出する行為です。個人差もありますが、本人が「スッキリした」と思える事が大切だと考えます。理想的な便の特徴は以下の通りです。

色:黄色から茶褐色で濃すぎず薄すぎず。
形:バナナ状で硬すぎず柔らかすぎず
状態:適度な水分と細かい粒子で便器に付かない。
密度:水に浮く程度で水の中でも形を保っている。
重さ:1回250g程度(キャベツ1/4位)
臭い:あまり臭わない

私も月に数回しかありませんが『スッキリ気持ちいいー』とトイレから出る時に思えるのが快便だと言えます。リズムは人それぞれですが食後30時間~120時間で便となり、多い場合でも1日3回位が便の調子が良い目安となります。

便秘の解消と予防方法

便秘を解消及び予防するためには、まず生活習慣の見直しが重要です。具体的には、食物繊維を多く含む食品を積極的に摂取し、十分な水分を取ることが効果的です。また、定期的な運動を取り入れることで腸の運動を促し、便秘の解消に役立ちます。さらに、排便のリズムを整えるために、毎日同じ時間にトイレに行く習慣をつけることも推奨されます。

3. 当院で行う『便秘』のタイプ別治療方法

上記『便秘のメカニズム』のように“便秘”と一口に言っても様々な原因があります。金・元王朝時代に書かれた中医書『活人書』には便秘の事を“虚秘”“風秘”“気秘”“熱秘”“寒秘”“湿秘”“熱燥”“風燥”に分別したと書かれています。元王朝時代と言うと、学校でも勉強しました元寇があった時です。日本で言うと鎌倉時代辺りですね。まだ電気も発明されていませんので、大幅な生活リズムの変化が無いであろうこの時代でも便秘というのは悩みの種だった事が分かります。それでは、今挙げましたタイプを踏まえながら、現代でもよく見られる5つのタイプでご紹介を致します。

①お腹に熱タイプ(熱秘)

原因
辛い物や脂っこいもの、味の濃いものをよく食べる事で腸内の温度が上がり、便がカチカチになり進まない状態。

治療方針
腸内の熱を冷ますようなツボや、潤いを補うツボを選択し動かない便が動き出すようにいたします。

②ストレス鬱滞タイプ(気秘)

原因
長期間のストレスや悩み事、デスクワーク等による同じ姿勢の連続により、気が鬱滞し消化物の流れが悪くなる。運動をする休日は快調という方はこのタイプかもしれません。

治療方針
ストレスであればまずは気持ちが「スッキリ」するようなツボを選択致します。また、物理的な運動不足による便秘であれば腸が動き出すようなストレッチや体操をご紹介致します。

③元気不足タイプ(虚秘)

原因
食欲不振による体力低下や悩み事、疲労の蓄積などにより、消化物の流れが悪くなる。ストレス鬱滞タイプと似ているが、排便時に息切れや疲労感がある事が特徴的。重症化すると痔になる事がある。

治療方針
便を「動かす」また「出す」為にはパワーが必要です。低下している元気の底上げができるツボを選択し、改善致します。

④お腹に冷えタイプ(寒秘)

原因
疲労や長期間の病気、体力低下により体温が充分に上がらず、大腸の動きが悪くなる。小便の回数が多いことが特徴的。逆に明け方に下痢をすることもある。

治療方針
元気不足タイプと似ていますが、この場合は更に「冷え」が多く見受けられます。内臓の温度が上がるようにお灸やホットパックで温めます。

⑤潤い不足タイプ(虚秘)

原因
産後、月経、長期間の病気、熱病の回復期や悪性腫瘍により体液が不足している状態。その為大腸の潤いも無くなり消化物の流れが悪くなる。女性はこのタイプが多い気がします。

治療方針
体液が補えるようなツボを選択いたします。また、産後や月経、熱病であれば時間が経過するにつれ改善する場合がありますので、その期間が短くなるよう治療致します。

4、まとめ

旅行やイベント事などで短期的に便秘になる場合は問題無いと思いますが、慢性的な便秘となると色々なリスクが潜んでいるので無視はできないですね。まずは生活習慣を見直し、それでも改善できず、生活に支障が出ている場合は早目に病院へ受診しましょう。その上で病気のリスクも無く、体質改善が必要な場合はいつでも長津田櫻花堂鍼灸マッサージ治療院へご相談ください!

5、事例紹介

60代女性  慢性便秘
原因不明の足首痛で来院。問診時に言われた慢性便秘と生活習慣などから痛みと便秘の原因は鬱滞タイプと判断し治療を開始する。仕事の関係で2週に1回ペースではあったが4回目の治療時に痛みの解消と、週に1回程度の排便から3回に増えてスッキリした日が続いている事をご報告頂く。現在は月に1回ペースで痛みの再発予防と調子の良い通便維持として来院されております。

著者の画像                    

著者:櫻花堂治療院 院長 大久保昌哉

横浜市緑区長津田にて櫻花堂鍼灸院を運営している大久保昌哉です。スポーツトレーナーとしての経験や介護福祉士としての資格を持ち、身体と心の健康をサポートするための情報をお届けしています。不眠症や冷え性、自律神経失調、腰痛、肩こりなど慢性的な疾患やケガなどの改善を得意としています。

最新の活動や日常の様子は、FacebookInstagramでフォローできます。

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