寝違え
起床時や日中急に首を動かすと痛みを感じる『寝違え』私自身も予防治療を怠ると痛めがちなのですが、比較的鍼灸治療は相性がよく、一度の治療で効果がハッキリと分かると思います。最後に『家庭でできる養生法』として首の痛みに有効なツボも紹介しております。
目次
①風湿タイプ
症状
首や肩の強張りが有る、悪寒発熱、汗は出るが熱は下がらない、頭や身体が重い、舌苔が白い、脈が浮く
②風熱+痰タイプ
症状
発熱すると悪寒が軽くなる、首や肩の強張りが無い、首の両側が硬く白く腫れている悪化すると腫れが赤くただれる、舌色紅く苔は黄色い、脈弦数
※①と②共に風邪や湿邪が関係していて症状も似ているようなのがあるのですが「強張りの有無」や「発熱の前後症状」などを聞く事が鑑別のポイントになります。
③捻挫タイプ
症状
肩や背中に痛みが広がる、動かすと痛い、悪化すると深呼吸や咳・くしゃみでも痛い
④寝違えタイプ
症状
肩や背中に痛みが広がる、動かすと痛い
※③と④はよくやってしまうタイプですね。このタイプには葛根湯が良いようなのです。理由は身体を温める作用で筋肉を緩めるのだと思います。
いかがでしょうか。ほとんどの方は③か④だと思いますが、カゼの症状や発熱などのサインが出ている時の首の痛みはもしかしたら①や②の可能性がありますね。
当院の治療方針
痛みの大半は左右どちらかに出ることが多いので、その反対側にある前腕のツボを選択し、鍼や指圧を行います。また、痛みの原因が身体を流れている『気(流れ)』『血(栄養)』『水(潤い)』の場合はそちらの調整も致します。ペースは1回~2回の治療で日常生活に支障が出ないレベルまで改善できると考えます。その後は繰り返し予防やメンテナンスの為にも、一月に一度の治療をおススメいたします。
家庭でできる養生法
痛めている反対側の赤い点を押します。目安は10秒3セット位で結構です。もし赤い点を押しても痛気持ちいい感覚が無い場合は少しズラすと見つかると思います。
繰り返す寝違えにお悩みの方は
①寝具の見直し
枕の上に頭を乗せて眠っている姿勢は、立った姿勢で考えると頭が前に出ている姿勢になります。その状態でいると気道も狭くなり、頸椎にも負担がかかります。一番良いのは枕が無い事なのですが、その状態では寝苦しいと思いますので、なるべく枕の高さは低くするようにし、丁度いい高さが見つからない場合はタオルを折って枕にする事をおススメします。また、寝相の良い方は寝返りをうたないという事になりますので、同一姿勢をとりやすくなります。寝返りのうちやすい布団で寝る事も効果的です。
②身体を冷やさない
身体が冷えれば気血の巡りが悪くなり、筋肉の収縮や滞りによって痛みが生じます。40℃以下のお風呂で芯まで温まる事を習慣づけましょう。また、夏場であればエアコンの設定温度の見直しを。冬場であれば首周りがしっかり保温できるような寝間着を選びましょう。また、過度にピッタリしたものや腰周りがキツい物も巡りの妨げになるので注意してください。
③深酒して寝ない
体内ではお酒の分解に大量の水分を必要とします。泥酔するまで酔った状態になると身体は脱水症状が起きて筋肉の潤いが低下して損傷しやすい状態になります。また、泥酔した状態では寝返りをあまりうたなくなり、同一姿勢が続くことで寝違えになりやすくなります。
※痛みが長引く場合
通常頚部の痛みは数時間から数日安静にしておけば徐々に痛みが引くのが一般的ですが、稀に大きな病気が隠れている場合がありますので寝違えの他に「手足の痺れ」「頭痛」「吐き気」「発熱」「手足の強張り」がある場合はお近くの整形外科へ受診しましょう。
現代医学から見た寝違え
そもそも「寝違え」自体が医学用語ではなく、首の周辺にある筋肉や腱、筋膜、関節包の急性炎症の一般的な総称のようです。また、日本整形外科学会では「外傷」ではなく「軽い病気」と認識されているようです。
原因
検査や画像で確認できる変化がないので、正確な原因は分かっていないようですが、
①睡眠中の不自然な体勢によって血液の滞りが生まれ、時にしこりが生まれる。
②日常ではしないスポーツや動きによって「こむら返り」のような筋肉の痙攣が起きる。
③飲酒後や過度な疲労後の睡眠。パソコンや事務作業など長時間に及ぶ同一姿勢が原因
の場合が多いようです。